民泊はできない?トレーラーハウスで宿泊施設をやるための法律知識を解説。

可動産特集記事
画像出典:株式会社スノーピーク

手軽に宿泊施設を始めたい!という方には、簡単に設置できるトレーラーハウスでの開業がおすすめです。最近ではキャンプ場の宿泊施設としての導入も増えています。

しかし、車と家の中間の存在であるトレーラーハウスは法律上の扱いがあまりよく知られておらず、宿泊施設の開業手続きは簡単ではありません・・・

そこで今回は、トレーラーハウスでの宿泊施設を開業するために必要な法律の知識を、これまで実際に自治体と相談を重ねてきた筆者が解説します。
一般には知られていない有料級の情報ですのでお見逃し無く!

一般的なトレーラーハウスは車両扱い

一般的な車検付きトレーラーハウスは適法に公道を走行できるため、建築物ではなく車両と見なされます。逆に建築物とするためには基礎工事と建物の土台が必要なので、車輪付きのトレーラーハウスでは不可能です。(車輪部分から取り外して上の部分を基礎に設置する場合は可能)

トレーラーハウスは車両と見なされるおかげで固定資産税が掛からないほか、商業用の建築が許されない市街化調整区域への設置も可能といったメリットが享受できます。

民泊新法ではなく旅館業による営業許可が必要

個人でも手軽に宿泊施設を始める方法として「住宅宿泊事業法(民泊新法)」による民泊が挙げられますが、トレーラーハウスでは民泊はできません。
その理由は、民泊の届出には不動産登記が必要だから。法律上車両として扱われるトレーラーハウスでは不動産登記はできないので民泊はできないのです。民泊のみが許されている住居専用地域では残念ながらトレーラーハウスでの開業はできません。

そこで、トレーラーハウスで宿泊事業を行う場合は「旅館業法」による営業許可を取得する必要があります。旅館業法による営業にはいくつか種類があり、一棟貸しのトレーラーハウスの場合は簡易宿所営業が基本となりますが、自治体によっては旅館・ホテル営業に分類される可能性もあります。

旅館業法による営業許可は民泊新法による届出と比べて設備基準が厳しく許可取得までに時間が掛かります。一方、許可が取得できた後は比較的自由に運営することができ、民泊とは以下のような違いがあります。

・年間365日営業ができる(民泊新法では180日以内という制限あり)
・無人管理の場合も宿泊施設の管理運営を業者に委託する必要が無い(民泊新法では住宅宿泊管理業者への委託が義務づけられている)

インフラの整備が必要になる

旅館業法による営業許可を取得するための設備要件として、宿泊施設が電気、水道などのインフラに接続されている必要があります。

洗面設備、トイレ設備は宿泊施設に備えている必要があり、入浴設備は近隣に公衆浴場があればそれで代替可能です。
敷地内の複数の建物をまとめて宿泊施設として申請することもでき、トイレ棟やシャワー棟がそれぞれ別の建物だとしても、ひとまとまりの宿泊施設と見なせればそれで設備として認められるようです。

また、消防要件として面積や間取りに応じた防火設備の導入、消防基準にのっとった内装の整備が必要になります。

 

宿泊施設は始めるのに少し手間が掛かりますが、この記事でご紹介した知識を生かして手続きを進めることでスムーズに営業を開始できるかと思います。トレーラーハウスでの開業を予定されている方、応援しております!

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